みなさんは次の時代への準備はできていますか?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第76回
~『お金2.0』(佐藤航陽著)を読んで学んだこと~
 
お金が消える?
 
今年に入ってから仮想通貨関連のニュースを目にすることが増えてきました。まずは、1月16日から17日にかけて仮想通貨の本丸ともいえるビットコインの価格が大暴落して世間を賑わせました。そして、その興奮も冷めやらぬ1月26日に、当時日本第2位の仮想通貨取引所であったコインチェックで580億円相当のNEMという仮想通貨が盗まれて騒然となりました。
 
実は、私は仮想通貨について理解しようと思い始めたのはつい最近です。私は仕事の関係でビットコインのことについて触れる機会があったからですが、ビットコインは昨年の後半から年末にかけて大幅に上昇しましたので、そのことで改めて興味をもった人も少なくないと思います。
 
そんな中、1月頭に香港のビットコイン投資会社でビットコインの投資について話を聞く機会がありました。私自身は仮想通貨に投資するより余裕がないということもありますが、もっと他のことに時間とお金を使いたいと思っているため投資はしませんが、興味があるので話は聞いてみたかったです。
 
ただ、担当者が説明の中で、「既に1万ドルの大台を突破して、今年中に2.5万ドル~3万ドルまで上がると予想している。少なくとも、1万ドルを超えたことで、今後下落しても1万ドルで跳ね返り、それ以下に下がることはない。」と豪語していたことには違和感を覚えました。とはいっても、それからわずか10日ほどで大暴落するとは思いもよりませんでしたが。。。
 
素人の私が言うのも変ですが、仮想通貨はあくまでもツールであって、それ自体に価値がつくのには違和感を覚えずにはいられません。大手銀行が仮想通貨を決済ツールとして活用することには納得できますし、大賛成ですが、それ以上でもそれ以下でも無いと思うのです。ただ、本書を読んだとき、その認識自体に確固たる自信をもてなくなりました。
 
いずれにせよ、特に気になった箇所を以下にいくつか引用します。
 
 
【この本のポイント!】
 
自然の秩序に反したルールの危険性
 
(中略)「自然の構造に近いルールほど社会に普及しやすく、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすい」という視点です。
 
この仮説を証明する典型例が、マルクスの「社会主義」です。(中略)

自然の性質と遠い仕組みになるほど機能不全を起こすという現象は、国家の競争力でも同じことが言えます。

アメリカや中国で商売をしていると、変化が激しく、お金・人材・情報もすごい速度で動いています。特にアメリカは大量の移民を受け入れ、経済も自由競争を奨励し、雇用の流動性も高めることで強制的に新陳代謝を上げて世界最大の経済大国に成長しました。あらゆるものの流動性が高いことに気づきます。
 
一方で、成長が止まった国(例えば日本や韓国)を見ると、資本や人材や情報の流動性は高くありません。つまり、社会の循環が止まっています。大企業はずっと大企業ですし、年功序列と終身雇用が前提、資本や人材の流動性を高めないように設計されています。(後略)
 
『お金2.0』P101~P103
 
今起きているあらゆる仕組みの「分散化」
 
では、お金や経済の世界において最もインパクトのある現象、大きな変化の流れとは何でしょうか?もちろん100年という単位で考えると難しいですが、これから10年という単位で考えれば、それは「分散化」です。(中略)
 
組織には必ず中心に管理者が存在し、そこに情報と権力を集中させることで、何か問題が起きた時にもすぐに対応できる体制を作ってきました。そしてこれが近代社会では最も効率的な仕組みでした。(中略)

必然的に“力”は中央のハブに集まるようになります。現代で大きな影響力を持つ組織を眺めても、このハブが重要な役割を担ってきたことがわかります。(中略)
 
つまり、この「分散化」という現象は近代までの社会システムの前提を全否定する大きなパラダイムシフトであり、中央集権的な管理者からネットワークを構成する個人への権力の逆流、「下剋上」のようなものです。(後略)
 
『お金2.0』P112~P115
 
資本主義から「価値主義」へ
 
(中略)資本主義で一番大事なことは資本を最大化すること、簡単に言えば「お金を増やすこと」を追求することです。
 
価値主義ではその名の通り価値を最大化しておくことが最も重要です。(中略)

あらゆる「価値」を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に換算することができますし、お金以外のものと交換することもできるようになります。お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎません。
 
人気のあるYouTuberほど、お金を失うことは怖くないが、ファンやチャンネル登録者を失うのは怖いと言います。これはYouTouberが、自分の価値は動画を見てくれるファンの人たちからの「興味」・「関心」であり、お金はその価値の一部を変換したものに過ぎないということをよく理解しているからだと思います。(後略)
 
『お金2.0』P162~P165
 
「時間」を通貨とする経済システムの実験
 
(中略)私はこの本を書きながら「タイムバンク」という時間の取引所を作っています。これは、様々な時間を売買・保有・利用することができるマーケットプレイスです。専門家は自分の時間をタイムバンク上で売り出して資金を得ることができます。(中略)
 
個人が企業と同じように専門性や影響力や信用力をともに生きていくためには、毎日の「収入」を稼ぎながらも、日々の活動から「資産」を築き上げていくことが不可欠です。(中略)

株式における配当収入や不動産所有者の家賃収入のように、もし最終的に時間を資産として持つ者がそこから定期収入を得ることができるようになれば、働かなくても生きていける人が増えるかもしれません。
 
『お金2.0』P194~P200
 
デジタルネイティブからトークンネイティブへ
 
これまで紹介してきた経済の変化や、ビットコイン、ブロックチェーンなどの新しい技術は、これまでの経済の考え方とはかけ離れたものです。おそらく金融やコンサルなどの世界で10年以上やってきた方にとっては到底受け入れられないものだと想像できます。(中略)
 
イギリスの作家ダグラス・アダムスが生前に面白い言葉を残しています。
 
人間は、自分が生まれた時にすでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる。
 
私たちの脳は一度常識が出来上がってしまうとその枠組みの中で物事を考えたり判断するようになってしまい、新しく誕生した技術などをバイアスなしに見ることが難しいのです。今のシニアの方は四六時中スマホばかり触っている若者を見て不安がるでしょうし、私の世代が老人になる頃にはトークンエコノミーやAIを使いこなしVRに没頭する次の世代の人たちに不安を投げかけている絵が想像できます。しかし、そうやって新陳代謝を繰り返しながら世の中は進化を繰り返してきましたし、これからもこのループは続いていくでしょう。
 
『お金2.0』P203~P207
 
 
唐突ですが、中国に住んでいる私としては、中国でWeChatペイやアリペイが普及していることについては素晴らしいことだと感じていますし、元々は交通カードなどのカードに入れておいたお金が、自動販売機やコンビニなどでも使えることを経験していましたので、最初はSNSのアカウント上にお金を保管することに対して違和感を覚えたものの、半年もすればまったく違和感なく使いこなすことができるようになりました。
 
よって、今後はビットコインなどの仮想通貨がその役割を担うことについては何ら違和感を覚えないと思いますし、特に、貿易などをしている人にとっては、現行の制度では海外送金で膨大な手数料と時間を取られているところを、仮想通貨を使用することで瞬時に完結できるのは素晴らしいことだと思います。
 
他方で、冒頭でも述べましたが、その決済ツール自体に価値がついて投資の対象になるというのは未だに理解できません。ある仮想通貨が他の仮想通貨と比較して優秀だから価値が上がり、より多くの人がその仮想通貨を使用するという存在価値であれば理解できますが、その優秀な機能自体が投機対象となるのは一種の危うさを覚えます。
 
また、先日知人が言っていましたが、ビットコインなどの仮想通貨は昔でいう金や今でいう国家などの根拠が何もないので、実際の価値はゼロだし、一部の中国人によって価格が左右されるような現状では公平性にも欠けると言っていて、なるほどなと思った次第です。
 
 
ただ、本書を読んだことで、そのような認識を改めなければならないかもしれないなと思い始めました。
 
本書でも言及していますが、お金が金や銀から紙幣に変わったときや金の保有量に裏付けされた金本位制度から国家の信用に基づいた現行制度へ変わったときもそれこそ大論争があったらしいのです。
 
つまり、現在、仮想通貨に対して価値がついていることはおかしいと、ツールとしての価値しかなく、何も裏付けがないものに対して価値がついているのはおかしいという考えは、現時点ではまだ新し過ぎて受けれることができないだけで、10年すると当たり前のことになっているかもしれないと思い始めました。
 
現在では、日々新しい物や新しい概念が出てきて、それにキャッチアップするだけでも大変です。我々が生まれたときは電話やラジオ、テレビなどは既に存在していましたが、そのようなものが無い時代の人にとっては恐ろしい物であったと思いますし、最初は理解できなかったと思います。ただ、使って慣れてしまえばもはやそれなしの生活は考えられなくなります。
 
このようにして、今では携帯、パソコン、インターネット、スマホ、電子決済などは既に日常に取り込まれて無くてはならないものになっています。同じように、仮想通貨やバーチャルリアリティー、自動運転やスターウォーズの世界のような人間と会話できるロボットなども、今はまだ未熟でそのことが原因で警戒論や否定論が主流を占めていますが、将来的には普段の生活に取り込まれていくことは間違いないと思います。
 
新しいことに適応することは最初は大変だとは思いますが、人類レベルなんて大きなことを語らずとも、ほとんどの人はいろんな新しいことに最初は警戒しながらも、それを使いこなすことで乗り越え、便利な生活を手に入れてきたという経験も忘れてはならないと思います。
 
ですので、今後出てくる新しいテクノロジーを拒否しないで、またなんか来たなと思って、取捨選択しながらも徐々に使いこなしていけばいいと思います。その方が、完全に拒否して一人だけ時代に取り残されるよりはずっと楽しいと思いますよ。
 
一介の読書オタクより
 
 
参考図書:『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』

発行年月:2017年11月30日

著者:佐藤航陽(さとう・かつあき)

発行所:幻冬舎
 
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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